AHマキャベリについて

ディプロマーのヴァリアントであるマキャベリがディプロとは違った面白さを持っているのは経済ルールの導入によって取りうる戦略の幅の増大と破門ルールによる外交の幅の増大によるところであると思われる。特に「盤上ノ友」のリプレイにおいてはこの破門ルールが推奨されている。破門ルールそのものは、史実よりも強力であるとか、効果が強すぎるとか否定的な意見もあるが、何故推奨されているかと言えば面白いからである。
何が面白いのか。
それは、破門の権利を持つ教皇領プレイヤーにある種の「権威」が生まれるからである。
そして、その権威は絶対ではなく教皇領プレイヤーの力量とその時々の状況によって大きく変動するからである。
つまり、権威とは皆がそれをスゴイモノであると認識するから「権威」となりそれが高まるのであり、皆がそれを「それって、どうよ?」と思い始めれば、一気に下落するものである。普通のマルチプレイゲームでは力あるものに当然外交上の発言力やら権威やらが生まれるものであるが、マキャベリの場合は必ずしも力(財力・武力)があるわけではないプレイヤーに外交の主導権を左右する可能性が与えられるというところに妙味があるのである。

[信義と名目]

マルチプレイゲームにおいて究極的には力がすべてである。これはすべてのプレイヤーが分かっていることである。であるが、その究極に到るまでには「名目」も重要である。
どんなに勢力があってもマルチプレイの場合、1対多数で勝ちきるのは難しい。となれば1対多数でも勝ちきれる算段が付くまでは、信義を守る(或いは守っているように見せかける)のが重要である。信義を守っていることを示す格好の材料は「条約の遵守」である。となれば締結した双方が破棄するまでは、たとえ空文化した条約であっても相手にその条約の遵守を云々し続けるのは無駄なことではない。少なくとも条約を破ったというネガティブなイメージを相手は周囲に対して持ち続けなくてはならないからである。