「フォースター評論集」(EMフォースター 小野寺健訳 岩波書店 1996)

以前も触れたことがありましたが、私の座右の書。凹んだ時、特に威勢のいい言説を目にした時はこれを読むと和む。一見柔和だけれどもその根底には揺るがない精神的な強さというものが感じられるのがいいんです。そしてそれを表現する言い方が私にとってはかっこいいんです。

『私は、「神よ、私は信じません―どうか許したまえ」をモットーとしている』

『能率優先の制度は、その味気なさを糊塗するために周辺に二、三の英雄を配しておかないと動かないのだ。まずいプディングにはプラムをいれなければ食べられないのと同じことである。』

『残念ながら、この地上ではたしかに力が究極の現実である。しかし、それがいつでも正面に出てくるわけではないのだ。それが存在しない状態を「デカタンス」と呼ぶ人もいるが、私はそれを「文明」と呼んで、こういう休止期間があることこそ、人間がしようとすることを許せる最大の根拠だと考える。』

(3点とも「私の信条」より)

何かですね、ここからは想像がえらく飛躍するんですが、某銀英伝ヤン・ウェンリー提督もこんな感じの考え方をしてたんじゃあないかなって思うんですよね。